先月の「朝まで生テレビ〜イラクについて」に主演していた戦場ジャーナリスト橋田さん。人質事件での世間の批判や政府の対応にほんとに腹をたてていた私は久しぶりに朝生を5時までみた。その中で、実際に危険地域といわれる戦場にたつ橋田さんの意見を興味深くきいた。
その橋田さんとおいである同じくジャーナリストの小川さんがイラクで襲撃され亡くなったというニュースがとびこんできた。
ショックだ!あれだけの経験を持っている人でもちょっとした事で運に見放されれば、命を落としてしまう現実がある戦争という現場。
何かの間違いであってくれればという思いと、もし事実だとしたら、橋田さん達が伝えようとした現実を私たちはみるべきなんじゃないかと思う。
政府はあいかわらず、退避勧告をこれだけお願いしたのに残念だ、とコメント。
そうじゃなくてさ! 退避すれば安全とかいうことじゃなくて、みなければいいという考えは違うと思うよ。
浅野忠信が実在の戦場カメラマン一ノ瀬泰三を演じた映画「地雷を踏んだらサヨウナラ」
何故命を落とす危険をおかしてまで、彼等は戦場へ向かうのだろう。有名になりたいから? 対岸の火と思ってしまう人と何が違っているのだろう。
映画から感じられる一ノ瀬さんも答えはでてない気がした。というか、言葉にはできないものなのかもしれない。
ただ、何かに魅せられたようにアンコールワットに向かう一ノ瀬さんがいた。
この映画からはジャーナリストの指名やメッセージといったものがおしつけがましくでていなかった。
戦争状態であるといったことを除けば、ただカメラをもち現地の人とふれあう一ノ瀬さんのことが淡々と描かれている。
だから余計に、チョンワが地雷で死んでしまうシーンでカメラを向けることも忘れ、ただ悲しみ叫ぶ一ノ瀬さんの姿をみると、このことがというかこれまでのこと含めて、ここで彼のアンコールワットへの想いを加速させた気になってしまう。だから単身向かったのかもしれない。
アンコールワットに向かう前、友人との別れのシーン。
この映画での印象的な最後のシーンです。
「地雷を踏んだらサヨウナラだな」といって、朝靄のなかまっすぐの道を自転車で去って行く。
朝靄に一ノ瀬さんの背中がかき消されていく。。。一ノ瀬さんの人生とかぶらせて終わっています。
イラクで襲撃された橋田さん達、一ノ瀬さん、ロバート・キャパや沢田教一さんといった、戦場に向かった人たちの人生は、本人達がメッセージを意識しなくても、歩んだ道から伝わってくるものがあります。
きっかけや理由がなんであれ、戦場に身をおいた人達にしかわからない、感じられないものがある気がする。
「戦争をおこしたブッシュがにくいよ」...橋田信介
「もしうまく地雷を踏んだらさようなら」...一ノ瀬泰三
「地雷を踏んだらサヨウナラ」(1999年)主演:浅野 忠信
70年代内戦の激化するカンボジア。戦場でシャッターをきるフリーカメラマン一ノ瀬泰三。ポルポト率いるクメール・ルージュ支配下にあるアンコールワット遺跡に魅せられ、シャッターにおさめるため単身潜入を試み消息をたった。実在の戦場カメラマンの26才の生涯の映画化。
その後、彼のご両親が彼の死亡を現地で確認したという。