■シェイクスピア「ヴェニスの商人」
演出 グレゴリー・ドーラン
出演 市村正親(シャイロック)藤原竜也(バサーニオ)寺島しのぶ(ポーシャ)西岡徳馬(アントーニオ)
シェイクスピア作品の中でも、タイトルは知っていてもあまり話をしらない作品だったんだけど。。
正直観てびっくりしてしまった。。
すごく差別が描かれていて。。演出でもその部分は突出させていた。。
演出意図がある事はわかっていても。。嫌悪感が先にでてしまう。。
どの登場人物にも感情移入が出来なかった。。
表向きは喜劇。。でも根底は悲劇なんだね。。
慈悲もない悪者と描かれるユダヤ人の金貸し
シャイロック(市村正親)は、常日頃ユダヤ人だということで蔑視され、復讐する機会を得た時、法廷から慈悲がないとやりこめられる結果となってしまう。。
結末はかわいそうなんだけど、だからといって同情できる感情がわく人物とまではいかない。。
友達の為に自分の船を担保にシャイロックにお金を借りる
アントーニオ(西岡徳馬)は、船が難破しお金を返せず、シャイロックと契約を交わした「自分の肉、1ポンド」を要求されてしまう。。
友達の頼みを聞いてお金を貸す一見やさしいアントーニオだけど、常日頃はユダヤ人であり金貸しのシャイロックを蔑視していたりする。。
アントーニオにお金を借りる
バサーニオ(藤原竜也)。
無邪気に友達を頼りお金を借り、この事件の原因を作ってるんだけど、友達の危機を救おうと奔走する。。
友達思い・・いやいや。。元の原因を作ってるし、友達に借りたお金で自由気ままに遊んでたりする。。
人間よいところも悪いところも持っていて、見方次第で同調出来たり出来なかったりするんだろうけど。。
この話の時代背景では当たり前の事だったんであろう「差別」ありきってのが、たぶん感情移入が誰にも出来なかった要因なのかな。。
と、話の根底を書くとなんと暗くて陰湿な話。。って感じなんだろうけど。。
舞台上では、喜劇として笑いが耐えず話が進むんだよね。。
始終笑い通し。。
市村さんは。。さすが。。。
もう
市村さんの台詞のテンポや抑揚みたいなのだけで笑ってしまう。。うまいよなあ。。
後半の悲劇的な部分では、重厚にシャイロックの心情を演じていて、決していいやつではないシャイロックに一瞬同情してしまうぐらい。。
で、
藤原君。。
藤原君の舞台って今までは、悲劇的な影をもった激情的な役柄が多かったし、そういうのを得意としてたと思うけど。。
今回の普通の青年のバサーニオを軽妙に演じていてよかった♪
すっごく以前より笑いをとる間がうまくなっていて、笑い通しでした。。
なんか今回は大御所さん二人がドンっているから、力もいい感じに抜けているのかなあ〜って感じ。。
感動したという舞台ではなかったんだけど。。
とっても楽しめた舞台だったかなあ。。
さぁ〜次は来年春の
「身毒丸」。。
ホリプロの先行はとれず。。(涙)他の先行でとれることを願うばかりです。。
で、その次が来年夏の
「かもめ」。
蜷川さんとの新作は当分先なのかな。。