魂のピアニストフジ子・ヘミング
フジ子・ヘミングのことは、今人気のピアニストとしか以前は知らなかった。
彼女の人生を知ったのはフジテレビで放送された「フジ子・ヘミングの軌跡」(主演:菅野美穂)というドラマでだ。→
ドラマサイト
知らなかった・・・ ずっと明るい道を歩いてきたピアニストだと思っていた。
子供の頃から才能があると言われていた彼女、10代の頃に病気で右耳の聴覚を失い、留学後成功が目の前というところで左耳の聴覚まで失う。それからの彼女の人生が壮絶。食べるために働き、耳の治療をする生活を送る。
子供の頃から厳しくピアノの指導をしてきた母親は、決してフジ子をほめなかったらしい。母親との関係が彼女の人生で大きな位置をしめていた。
母親が亡くなって、母親が住んでいた家を引き継ぐため日本に戻る決意をする。
それが、彼女の人生の転機となるー
彼女のピアノが心の琴線にふれるのは彼女の人生からくるものだとわかった。
ドラマの中で、働いていた病院でフジ子が弾くピアノに患者が涙するシーンがある。涙がでた。本来音楽というものはこういうものだと思った。
心がゆさぶられる演奏。それは有名無名というくくりじゃない。
好みかもしれないけど、私は彼女の繊細さと荒っぽさのある演奏が好きだ。
なんか人間らしい演奏な気がする。
そんな彼女のことばを集めた本「魂のことば」。
彼女のことばは、人生の裏を見てきたからか、上からではない物の見方をしてることばがあふれている。
人生指南書的な本は好きではないんだけど、彼女のことばは苦労した人だというのを知ってるからか、耳をかたむけられる。
彼女は成功しても、苦労をしていた時の自分を忘れることなく、おごらず、生きていることがわかる。
私は目線の位置が低い人は信頼できると思っている。
成功して上しかみなくなった人、向上心があってもいいのかもしれないが、私は好きじゃない。
人の痛みがわかる人は素敵だと思う。私もそういう人でいたいと思う。
フジ子・ヘミングの「魂のことば」 清流出版 1,200円
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きれいな装丁の書籍。短いことばで彼女の人生から学んだ言葉がならぶ